空を見ていた。

一眼レフカメラを手に入れて、
さて、何を撮ろうかと考えていた時のこと。


とにかく、男らしいというか、
パワフルな、エネルギーのあふれているものを、
撮影したいと思った。


それは何だろう、と考えていくうちに、
飛行場に行ってみよう。
飛行機を見てみよう、と思いついた。
あそこなら、きっとイメージ通りの何かがあるに、違いない。


さっそく、仙台空港の周りを車で走ってみた。
ぐるりと回ってみると、絶好の撮影ポイントと思われる場所に、
カメラを抱えた人達が、たくさんいるのが見えた。
ちょっと遠慮をしつつ、遠巻きにした位置で、
自分も撮影してみた。


うーん、と思った。
確かに、飛行機はかっこいいし、パワフルだ。
こちらに向かって、降りてくるところを目の当たりにすると、
身体ごと、もっていかれそうな気分になる。


たしかに、たのしい。おもしろい。
でも、自分が撮影したいのは、飛行機じゃなくて、
飛行機の中にある、エネルギーとか、
遠くに行くという、せつなさ(のようなもの)なんだよな、
ということに、気がついた。

そんなことを考えながら、何日か空港に通ってみた。
地上を飛び立つ飛行機を見上げて、
一日中、空を見ていた「あの日」の記録を、
ここにも残してみることに、する。


2009撮影 佐藤